
ビルトインガレージのある家を建てたいけれど、建ぺい率の制限が気になる方も多いのではないでしょうか。
ビルトインガレージは原則として建ぺい率に含まれますが、容積率では延べ床面積の1/5まで緩和措置が適用されます。
今回は山形県南を中心に、その他の幅広いエリアで多くのご家族の家づくりをサポートしてきた工務店『ミナガワ建設』が、建ぺい率・容積率の基礎知識から緩和条件、メリット・注意点、実際の施工事例までくわしく解説します。
Contents
ビルトインガレージと建ぺい率の関係

ガレージ部分は建物の一部とみなされるため、基本的には建ぺい率の計算に含まれます。
つまり、ガレージを広く取ると、その分だけ居住スペースの面積に制限がかかる仕組みです。
土地選びや間取りを決める段階で、ルールを把握しておくとスムーズな計画が立てられます。
まずは基本的な用語の意味と、ガレージの扱いについてくわしく見ていきましょう。
そもそも建ぺい率とは
建ぺい率は、敷地面積に対して建物を真上から見たときの面積がどれくらいの割合を占めているかを示す数値です。
簡単に言えば「土地の何%を建物で使ってよいか」を定めたルールとお考えください。
(例)100平方メートルの土地で建ぺい率が60%の場合、建築面積は60平方メートルまで
建ぺい率は、火災時の延焼防止や、風通し・日当たりの確保のために定められています。
ご自身の土地の建ぺい率は、自治体の都市計画図などで確認可能です。
ビルトインガレージは建ぺい率に含まれる
屋根と壁で囲まれたビルトインガレージは、法律上「建築物」として扱われます。
原則としてガレージの床面積すべてが建築面積として計算され、建ぺい率の対象です。
ただし、壁のない柱だけで構成される簡易的なカーポートであれば、条件によって「柱から1メートルまでの部分を建築面積に算入しない」という緩和措置が受けられます。
ガレージは、居住スペースとのバランスを考慮しながら、定められた建ぺい率の範囲内に収める計画が必要です。
ビルトインガレージで建ぺい率の緩和を受けるのは難しい
じつは、敷地全体の建ぺい率の上限は増やすことが可能です。
これを「建ぺい率の緩和」と呼び、主に以下の2つのケースで適用されます。
- 角地緩和(+10%): 特定行政庁が指定する角地など、特定の条件を満たす敷地であれば上限が10%加算
- 防火・準防火地域の緩和(+10%) :防火地域や準防火地域において、耐火建築物や準耐火建築物を建てる場合に10%加算
2つのケースを組み合わせれば最大20%の緩和を受けられるため、1階に広いガレージを設けても居住スペースを確保しやすくなります。
ビルトインガレージと容積率の関係|緩和措置あり

建ぺい率と同様に確認が必要なのが「容積率」です。
容積率は、敷地面積に対する延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合を指します。
計算においては、ガレージ部分の面積を一定の範囲で除外できる特例が設けられているため、限られた敷地でもゆとりある居住空間と駐車スペースの両立が叶います。
そもそも容積率とは
ビルトインガレージは、車庫として使用する部分の面積が、建物全体の延べ床面積の5分の1までであれば、容積率の計算から除外できます。
容積率の上限が厳しい土地でも、居住スペースを減らさずに駐車スペースを確保しやすくなります。
一方で、緩和措置はあくまで「容積率の計算上」の話であることに注意が必要です。
固定資産税の評価においては、ガレージ部分も床面積として課税対象になります。
ビルトインガレージは容積率の緩和措置が適用される
容積率の緩和を受けるためには、要件を満たす必要があります。
設計士と相談する前に、以下の3つのポイントを押さえておくとスムーズです。
- 用途の限定: 「自動車または自転車の駐車のための施設」である必要があり、倉庫や趣味部屋としてのみ使う場合は対象外となる可能性
- 面積の上限(1/5ルール) :緩和される面積は「車庫部分を含む建物全体の延べ床面積の5分の1」までで、超えた部分は通常の床面積として加算
- 建物との一体性:敷地内の建築物の一部、または付属建物として計画されていることが条件
ルールを確認しながら、最大限にメリットを活かせるプランを練っていきましょう。
山形県南を中心にその他幅広いエリアでビルトインガレージのある住宅をお考えの方は、ぜひミナガワ建設へお気軽にご相談ください。
容積率の緩和を賢く活用する設計の工夫や、固定資産税などの資金面も考慮したプランニングで、ビルトインガレージのある理想の住まいづくりをサポートします。
ビルトインガレージのメリット

ビルトインガレージには、愛車を守る以外にも多くの魅力があります。
日々の生活を快適にし、敷地を有効に使うための主なメリットを整理しました。
- 雨風や紫外線による愛車の劣化を抑え、シャッターを設置すれば盗難やいたずらのリスクも減らせる
- 車から室内へ直接移動できるドアを設ければ、雨の日でも濡れずに乗り降りや荷物の運び入れが可能
- 1階を駐車スペース、2階・3階を居住スペースにすることで、敷地が狭くても駐車スペースを確保できる
- 条件を満たせばガレージ部分の床面積を計算から除外できるため(容積率の緩和)、より広い家を建てられる
- 車のメンテナンスはもちろん、DIYやアウトドア用品の収納など、多目的な趣味の空間としても楽しめる
ビルトインガレージの注意点

魅力が多い一方で、導入前に知っておくべき注意点もあります。
建ててから後悔しないよう、以下のポイントに対する対策を事前に検討してください。
- ガレージにスペースを取られるため、玄関や水回り、1階の居室が狭くなりやすい
- 大きな開口部を作るために構造計算や特殊な工法(重量鉄骨やRCなど)が必要になり、建築費用が高くなりやすい
- エンジン音やシャッター音、排気ガスの臭いが居住スペースに響きやすいため、防音や換気計画が必須
- ガレージは外気と同じ扱いになるため、断熱施工をしないと、隣接する部屋が底冷えする原因に
- 将来、車のサイズが大きくなっても駐車できるかなど、長期的な視点でのサイズ計画が必要
費用面や必要な坪数についてより詳細な情報を知りたい方は、2台分のガレージを備えた2階建ての実例と費用解説もあわせてご覧ください。
〈関連ページ〉ビルトインガレージ2台付き2階建ての間取り実例(40坪〜60坪)|ガレージの費用、坪数なども解説
ビルトインガレージのある家の施工事例
実際にビルトインガレージを取り入れた住まいは、どのような暮らしを実現しているのでしょうか。
機能性はもちろん、デザインや使い勝手にこだわった施工事例をご紹介します。
ご自身のライフスタイルや敷地の条件と照らし合わせながら、理想のイメージを膨らませてください。
車を2台並列駐車できる平屋のビルトインガレージ
平屋でありながら、車を2台並列で駐車できるゆとりある設計の事例です。

〈関連ページ〉毎日をちょっと特別に ─ 暮らしを愉しむ平屋の住まい【昼ver.】
ガレージの奥行きを広く確保しているため、大型車の駐車もスムーズに行えます。

電気自動車の充電設備も整えており、将来のカーライフの変化にも対応できるつくりです。
玄関アプローチには浮き階段を採用し、勾配天井と組み合わせることで、洗練された美しさと開放感を演出しました。
実用性とデザイン性を兼ね備えた、平屋ならではの贅沢な空間構成です。
パッシブ設計で快適な二階建てのビルトインガレージ
自然の力を利用して快適な室内環境を作るパッシブ設計を取り入れた、二階建ての事例です。

〈関連ページ〉〜 人もペットも心地よく 〜 3世代で暮らす、趣味と安心の住まい
ビルトインガレージから勝手口を通じて直接外に出られる動線を確保し、ゴミ出しや庭への移動が便利になるよう工夫されています。
また、ガレージの上部をルーフバルコニーとして活用している点も特徴です。
洗濯物を干す場所としてはもちろん、テーブルセットを置いてくつろぐアウトドアリビングとしても利用できます。
ご希望に応じて部屋を設けることも可能なため、家族構成や暮らし方に合わせて柔軟に活用できるプランです。
ガレージの上部を居室として活用する場合、どのような間取りが可能か、またその際の注意点をくわしく解説しています。
〈関連ページ〉ビルトインガレージの上に部屋を作るメリット・デメリット|対策・後悔しないポイントも解説説
趣味を楽しめるビルトインガレージ
白を基調とした外壁に、木目調の玄関ポーチが温かみのあるアクセントを加えた住宅です。

〈関連ページ〉インナーガレージのある家
こちらのガレージは車2台がゆったりと駐車できる広さを確保しています。
駐車スペースにとどまらず、休日はシャッターや窓を開け放って、ご家族やご友人とBBQを楽しむ場所としても活躍します。
夏にはビニールプールを出してお子さまの遊び場にするなど、多目的に使える点が魅力です。
愛車を眺めながら趣味の時間を過ごしたり、ご家族との思い出を作ったりできる、暮らしを豊かにするガレージです。
他にも、デザイン性にこだわった外観や間取りの事例をまとめていますので、理想のガレージづくりの参考にしてください。
〈関連ページ〉おしゃれなビルトインガレージの外観・間取り事例|設計ポイントやメリット・デメリットも解説
山形県南を中心にその他幅広いエリアでビルトインガレージのある住宅をお考えの方は、ミナガワ建設へぜひお気軽にご相談ください。
お客様のこだわりを反映させ、デザイン性と機能性を兼ね備えた理想の住まいが実現できるよう、設計から施工までトータルでサポートいたします。
まとめ
ビルトインガレージは建ぺい率に含まれますが、容積率の緩和措置をうまく活用することで、理想の住まいを実現しやすくなります。
計画の際は、敷地の条件や法的な制限を正しく理解し、メリットだけでなくコストや断熱などの注意点も考慮が必要です。
施工事例を参考に、ご自身のライフスタイルに合った使い方をイメージしてみてください。
専門的な知識が必要な部分は、信頼できる施工会社や設計士に相談しながら進めていくのが安心です。
素敵なガレージライフが叶うよう、計画を練っていきましょう。
